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正木ブログ

イギリス国際私法-Rome1とRome2

以前にも書いたとおり,私がイギリスに留学していた際の修士論文のテーマは,航空機先取特権(Aircraft Lien)/船舶先取特権(Maritime Lien)の準拠法でした。

イギリスにおける準拠法の定めは,EUで定められたルールに従っておりました。すなわち,契約に関する準拠法はRome 1 Regulation(Regulation (EC) No. 593/2008 on the law applicable to contractual obligations)(2009年12月17日よりも前についてはRome Convention(the Convention on the Law Applicable to Contractual Obligations of 1980))の,不法行為に関する準拠法はRome 2 Regulation(Regulation (EC) No. 864/2007 on the law applicable to non-contractual obligations)の,ルールによっていたのです。

私が修士論文のテーマを設定した際には,まだまだBrexitは実現しないという見解が多数を占めており,冗談半分で,「イギリスがEUから離脱したら大変だな」などと笑っておりました。ところが,修士論文準備中にイギリスがEUから離脱することが決まり,イギリスは今後準拠法をどのように考えていくのか不透明になってしまいました。

 

……という状況で,私はイギリスを去ることになりました。

ちなみに,船舶先取特権(もっと厳密にはLienを先取特権と訳すのは不適切なのですが……)については,英国の判例によって準拠法が定まっているので,Brexitは直接的な影響をもたらすものではありません。ですから,修士論文自体は無事提出に至り,私は修士号を受けることができたのであります。

 

さて,このような状況に対し,英国は,draft ”The Law Applicable to Contractual Obligations and Non-Contractual Obligations (Amendment etc.) (EU Exit) Regulations 2019”を起草し,Brexit後も準拠法はRome 1とRome 2によって定めていく旨を宣言しました。これにより,今後も両規則による運用が続くことになります。

 

Brexit時点でRome 1 とRome 2に従うのは構わないのですが,じゃあ今後の規則改正やEU判例にイギリスの裁判所が拘束されるのか,気になるところです。このあたりは,私の手に負えるところではないのでここでは考えないことにします(しっかり勉強します)。

 

 

ところで,この国際私法,元々は得意科目だったでして(先生がよかっただけという説も濃厚),Mock Examでもクラスで唯一Distinction相当の点数を出していたという科目でした。にもかかわらず,というかなんというか,試験日が最終日だったことも影響し,試験準備が不十分に終わり,試験を受けた科目中最低の成績(念のため書きますが,それでもMerit相当です)を叩くという悲惨な結末を迎えたのでした。

とはいえ,この最終日の試験が終わったときの晴れやかな気持ちは今も思い出されます

この写真は,そんな期末試験会場を出るときに撮ったものです

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