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録音がどこまで証拠になるか

録音がどこまで証拠になるか

携帯電話が一気に広まったことで、「録音」が、裁判の証拠としてずいぶん出されるようになりました。また「証拠として録音があります」「この録音がどこまで証拠となるか知りたいです」というお客さんもとても増えました。

まず、大前提として、録音は、「反訳」(文字起こし)しないと、裁判の証拠としては使えません。

このために、通常、反訳業者さんに録音データ自体を渡して、反訳(文字起こし)してもらいます。これには、費用が必要です。まあ、数万円程度で収まることが多いですがその費用を払えるということが、録音を証拠として使うためには絶対に必要です。

なかには、ご自分で文字起こしするからいい、という方もいますが、やはり、専門の業者にやってもらった方が、信用性もありますし、そもそも文字起こしというのは、やってみるとわかりますが、とても疲れる、大変な作業です。なので、うちの事務所では、たいがい、業者さんに頼んでいます。

業者さんが作ってくれた「反訳」と、録音データ自体、この二つがそろって初めて、証拠として裁判所に提出できる。とお考え下さい。

次に、そうやって反訳と録音データを法廷に出したところで、どこまで有用か、というと、これは難問です。その答えは、「その録音で何を立証しようとしているのか」「立証したい内容が、どこまで録音されているのか」に左右されます。

たとえば、です。離婚の親権争いにおいて、子どもが「僕はお母さんと一緒がいい」と言った、それを録音して、証拠として裁判に出したとして、それで、母親を親権者とする方に裁判所が傾くかというと、そうではありません。

親権者の判断は、子どもの意見だけでは決まらないからです。このケースではそのような録音は、むしろ「そういうことを子どもに言わせて自分の利益を図ろうとする母親」という印象を裁判所に与え、悪影響になる可能性があります。

また、夫婦喧嘩のときに「もう離婚しよう」「それしかないよね」という会話があったとして、それで、「離婚について合意済みである」ということを立証しようとしても、無理があります。「結婚しよう」「そうしよう」という会話があっても、婚姻が成立しないのと同様に、離婚しよう、そうしよう、だけでは、離婚の合意があったとは認められません。

一方で、「脅迫があったことの証拠」として、怒号や罵声が録音されていれば、これは、なかなか有用な証拠です。その録音だけで、脅迫の事実が認定できるからです。

また、セクハラ案件で、「おっぱい大きいね」「今日のパンツは何色かな?」などという発言が録音されていれば、これもまた有力な証拠です。その発言だけで、セクハラの存在が認定できるからです。

時には「相手に責任があることの証拠」として、相手の謝罪を録音していらっしゃる方もいます。これは、内容次第では有用なこともあり、有用でないこともあります。

よく皆さんが事務所に持ってこられるのが離婚事件における「夫婦喧嘩の録音」です。これが裁判において、「慰謝料の証拠」あるいは、「夫婦関係破綻の証拠」として、有力なものになるかどうかというのは、さらに難しい問題です。

まず、録音する方はたいがい、ものすごく長い時間録音し、そのなかでも、自分に有利な箇所、特に相手が怒鳴っていたり、大声を出している箇所、だけ切り取って提出してきます。ですが、10分程度怒鳴り声が録音されているからと言って、夫婦生活において、そのような怒声罵声が日常的だった、とは限りませんよね。

更に録音する方は、事前に相手をわざと怒らせ、挑発して、怒鳴らせて、それを故意に録音として証拠提出することもあります。こういうのは、それだけ聞くと、うむ、たしかにひどいわなあ、というものもあります。

たとえその録音の3時間後には、仲直りして一緒に楽しく夕食を取っていたとしても、このような録音が出されれば、その部分だけが裁判所の目に触れることになります。

こうなると、うむ、これは婚姻関係、破綻してるんじゃないのか。。。。と考える裁判所も出てきます。こうなってしまったとき、ほかの証拠で対抗できるときもあり、できないときもあります。

それはおかしい、隠し録りしたもの勝ちなのか!という方もたくさんいます。

しかし残念ながら、訴訟というのは、有力な証拠を出し、立証に成功したものが勝つのであって、決して正義が勝つわけでも真実が勝つわけでもありません。
このような録音に対抗する手段はただひとつ、それは、常日頃から、隠し録りされたら困るような言動をしないことです。
一度してしまったら、それが録音され、どのように利用されようとも、文句は言えません。会話を秘密裡に録音すること自体は、違法ではありませんし、証拠として提出されれば、裁判所は、採用します。
夫婦仲が悪くなりかけた時こそ、落ち着いて、あとから他人にその当時の録音を聞かれても恥じることのないような、そういう言動を心がけてください。皆さん、そういう時には興奮しておられますから、かっとしていろいろ言ったりやったりしたくなる気持ちは分かりますが、厳禁です。

訴訟というのは、あとから、事実が切り取って証拠として提出され、それをもとにして行われるものなんです。そのことを、よく、肝に銘じておいてください。

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