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コラム

離婚問題

一卵性母娘の離婚

親子

一卵性母娘、という言葉があります。母と娘(思春期以降の娘)の人格が未分化の状態を指す、といわれ、多くの場合、このような母娘は、共依存的な関係にある、と言われます。

具体的には、
・一番の親友はお母さん/娘、
・買い物も旅行も、何でも一緒にいく、
・なんでも相談する。お互いに言えないこと、秘密がない。
・夫や彼氏、という存在よりも優先されるのはお母さん/娘。デート中に親から電話がかかってきたら、必ず出る。
・娘は、結婚しても母親の近くに住む、母親が頻繁に娘夫婦の家庭に介入する。

などという現象がみられる母娘です。

これはこれで、まあ、お互いの人格がしっかりできていて、いい距離を取れているのならいいのですが、そうではないケースも非常に多い、だからこそ、多くの場合共依存であると言われるのでしょう。

弁護士から見ると、
・40代くらいの母親が、15歳以上の娘を連れて、相談に来る。
・20歳をとうに超えた娘の離婚に、母親が付き添ってくる。
・ただ、ついてくる、連れてくる、というだけではなくて、相談中にも、「ねえ、どうする?」「これでいいと思う?どう思う?」などと意見を求めあい、意見を一致させ、すりあわせて、「二人の」方針を決める。

というケースの多くはこのパターンです(もちろん例外もあります。特に、どちらか一方が精神的・身体的な疾患をお持ちで、1人で来所できない場合は、この限りではありません)。
離婚事件だろうが、なんだろうが、本来、事件はそのご当事者のものです。その事件をどうするか、という決断は、ご当事者が、ご自身の人生の問題として、ご自身でしなくてはなりません。しかし、一卵性母娘の場合は「私たちの」人生、になっています。二人の人格が、未分化なのです。

それはそれで、病的でいびつ、未熟な関係であるとしても、ご本人たちがそれで幸せなら、まあ、周りがとやかくいうことではありません。共依存だろうがなんだろうが、勝手にやって頂戴、ということになります。
しかし、このような娘さんが結婚し、結婚してもなお、母親との人格の分化ができない場合、婚姻生活は多くの場合、破綻します。そりゃそうですよね。夫からみたら、自分よりも母親の方を優先する妻というのは、納得できるもんじゃあありません。また夫から見れば、姑に頻繁に自宅に入ってこられるのも不愉快でしょう。

ところで、一卵性母娘の娘さんは、このようにして結婚生活がうまくいかなくなると、真っ先に母親に愚痴をこぼします。もちろん母親は、娘を慰め、庇い、「夫はとんでもない男だ」と攻撃します。娘に、あなたにも悪いところがあったでしょう、などと、娘を諭したり、叱ったりすることは絶対にしない。庇ってもらえるから益々娘は母親べったりになる。
母親にとって娘の夫は、一卵性母娘の間に割り込んできた、異分子です。自分たちの心地よい共依存関係を壊そうとす厄介者でもあります。なので排除したい。一卵性母娘の母親は、心のどこかでそう思っています。そんなところに、娘が、夫の愚痴をこぼしてきたとなると、母親はチャンスです。もう、離婚しちゃいなさいよ、ということで、2人そろって事務所に来る。

さて、こうなってしまいますと、夫側がどんなに頑張っても、婚姻生活の修復は、無理です。
特に、夫婦が喧嘩をする、妻が出て行って、「母親と」一緒に生活しはじめると、もうだめです。他の意見など聞き入れる余地はなくなります。
こういう場合でなくても、一般的に、女性は、共通の敵を見つけると非常に強固に結託します。職場などでよくみられる構造です。一卵性母娘が共通の敵(夫)を見つけ、結託すると、それこそ「死がふたりを分かつまで」、離れません。母娘は、毎日毎日、娘の夫に対する敵意をお互いに確認し合いながら生活するわけですからね。

なので、母親と人格が未分化な状態の娘さんと、結婚することは、私はお勧めしません。うまくいかないケースが多すぎますし、実際にうまくいかなかった場合の、離婚事件が泥沼過ぎることになるからです。

母と息子がこのようにべったりであることもありますが、母息子一体型は、傍から見ていてわかりやすいのです。一卵性母娘は、判りにくい。お互いの人格がしっかり独立したうえで「ただの仲の良い母娘」なのか、人格が未分化の母娘なのか、は、よくよく見てみないと分かりません。もしかすると、一緒に生活してみないとわからないかもしれません。

いずれにせよこのパターンの離婚事件は揉めます。通常の、夫と妻の離婚事件が、5対5の攻撃力で闘われるとすると、一卵性母娘のケースの場合、母の攻撃力5が、妻側に加わるわけです。じゃあ、夫対妻+母で、5対10になるのかというとそうではないのです。母と妻の攻撃力は、足し算ではなくて掛け算になるので、母娘結託側は、25の攻撃力を持つ、と言っても言い過ぎではありません。つまり、この場合、夫は、5の攻撃力で25の攻撃力をもつ妻+妻の母に立ち向かわなくてはならなくなってしまいます。

まあ、これは夫にとっては、しんどいです。あまりにぼろくそに攻撃され、かたくなに拒否され否定されて、鬱っぽくなってしまう旦那さんもいます。こういうときは、無理せずにお近くの弁護士に頼られることをお勧めします。弁護士を入れることで、ご自身の攻撃防御力を外部からチャージしていただいた方がいい。離婚は、なんといっても心身ともに気力充実していないと、乗り切れるものではありませんからね。

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