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子供が強盗団に入るとき

子供が強盗団に入るとき

先日、銀座で起きたロレックス強盗事件の犯人たちが全員20歳以下だった。という報道があり、これを受けて、「子どもが、なぜ・・・」という反応が見られるようです。

しかし、子どもが強盗を犯す、というか、子どもが、強盗などの「捨て駒」として使われる、という類型の犯罪は、もう、かなり前から、かなり広く発生しています。

この類型が最初に脚光??を浴びたのは、「おれおれ詐欺」です。その受け子に「アルバイト」として、未成年者や、20、21くらいの若い子たちが使われました。「お客さんから封筒をもらって届けるだけの簡単な仕事で、月50万稼げる」みたいなうたい文句で、堂々と、求人サイトに受け子の求人が乗っていたのです。
この求人をみて、普通の仕事だと思って応募したらもう最後。「やばい仕事だ」と気づいた時には、「お前もグルだからな」「通報したら家族にも害が及ぶぞ」などと脅され、足を洗えなくなり、どんどん深みにはまる。そして逮捕されたときには、仕事の「上司」はもう飛んでいて(つまり、逃げていて)、逮捕されるのは下っ端だけ。そして、おれおれ詐欺の受け子は必ず実刑。という、これは何の罰ゲームなのか。。。。この子を実刑にして、犯罪の上層部は逃がしておいて、それで我が国の刑事司法は本当にいいのか?と、思わず怒りを感じてしまうような事案が、多発しました。もう、10年くらい前のことです。

この時から、知恵のある犯罪者は、「実行犯として若者を利用し、捕まったら足切りして逃げる」という手段の有効性に気が付きました。
そして、おれおれ詐欺の危険性が世の中に広まり、これに引っかかる人が少なくなったところで、犯罪者集団は、次の手を考えます。これが、いわゆる「闇バイトの募集」で、「たたき」(強盗)をやってくれる人を募集する。というものです。

犯罪者集団上層部は、この「闇バイト」(実行犯)募集のために、独自のアプリまで開発しています。闇バイトに応募する子は、ここで、学生証とか、住所とかまで、全部登録させられます。登録するときは、まだ「割の良いバイト」として、みんな軽い気持ちで登録しちゃうんですが、いよいよ、自分がやること、つまり人をぶん殴ってカネや所持品を奪う、ということが判り、その結構の日が近づいてくると、怖くなります。ところが、その途端に上層部から、「お前の住所も学校も全部知ってるからな。途中で脱落したり、警察にチクったりしたら、お前の親にも害が及ぶぞ」というメッセージがおくられてくるわけです。そうなると、子どもたちはもう逆らえません。
そして、いよいよその当日が来ます。10代の子どもたちは、意を決して強盗を実行します。しかし、当たり前ですが、やり方は稚拙です。それはそうですよね、子どもですから。。。。
そして、実行犯の子たちが、がなんとかやりおおせて、ブツを上層部に渡す、そうしたら、逮上層部はその瞬間自分のアカウントを消したり、アプリごと消してしまうわけです。あとは、もう、子どもたちが逮捕されようがどうしようが、まったく関係ありません。

これはなかなかひどい話ですが、現実で、しかも、良くある話です。私はこのように利用された子たちが、逮捕され、裁かれるときに、弁護人とか、付添人として、なんどか彼らを弁護してきました。
結果、うまくいかず、実刑になってしまったこともあれば、うまいこと執行猶予がついたり、あるいは、少年院まで行かず、保護観察処分で処分を終えることができたこともあります。

どうやったら、少年院送りあるいは実刑処分を免れることができるか、というのはめちゃめちゃ難しい問題なので、とてもここで書ききれるものではありません。
そんなことよりもっと大事なのは、「我が子が、いかにして、強盗集団に取り込まれないか」なのですが、これもまた難しいお題です。

私なりに言えることを挙げてみると、
第一に、犯罪集団に取り込まれてしまい、逃げられずに犯行に及んでしまい、刑事処分を受けてしまうのは、結局「まじめで優しい子」です。
よく、我が子が逮捕されてから、親御さんは「あんな優しいいい子が、そんなことをするなんてありえない」と仰います。
しかし、「優しい子」というのは、「気遣いができる」=「周囲の顔色を読んでしまう」子でもあります。
また、親にとって「いい子」=親の言うことはよく聞く素直な子=反抗反発できない子=言うなりになってしまう子。でもあります。

なので「うちの子は優しい。まじめでいい子だ」と思っている親御さんほど、足をすくわれます。こういう子をお持ちの親御さんは、要注意です。

第二に、お子さんの友達関係と行動に、十分に気を付けていただきたい。
「ちょっと夜遅くまで遊んでいて補導された」「ちょっとだけタバコを吸って補導された」となると、親御さんはあまり事態を重視しないことがあります。特に、我が子が「優しい、素直な子」だと思っていると、余計「まあ、これくらいのことがあってもいいか…」くらいにしか思わず、「誰と」「どこで」「何をしていたのか」を問い詰めようとしません。これは親御さん側に、「厳しく問い詰めることで、子どもとの関係を壊したくない」という甘い考えがあることも否定できません。
ですが「優しい、まじめないい子」が、夜遊びしたりタバコを吸うとき、というのは、たいがい断れないときです。そのような時に一緒にいる、「断れない」友だちとは、のは、お子さんが本心ではあんまりやりたくないことを誘ってくるような友達です。こういう友達こそ、実はどこかで犯罪集団の上層部とつながっていて、お子さんを「闇バイト」に誘うような人間です。
なので、「うちの子はいい子だから…」と、ちょっとした非行を軽く考え、見逃さないようにされてください。お子さんと一時的に仲が険悪になったりすることを恐れずに問い詰めて、そういう友達との関係を遮断させてください。

こういう強盗は、たいてい「強盗致傷」、つまり強盗の際に人にけがをさせた、という案件になり、その罪は非常に重いのです。親御さんとして、お子さんたちをそのような罪から守るというのは、簡単なようで難しいことです。とくに、アプリ一つで重罪を置かせるようになってしまった今の時代では、とても難しいことです。

それでもなお、いや、それだからこそ、そのような犯罪からお子さんを守れるのは、おそらく、親御さんだけなのだろうと思います。子どもを犯罪から守る。というのは、子どもが被害者にならないようにするだけではないのです。お子さんが加害者にならないようにすること、それはとても大切な、親御さんの、役目になります。

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