2026.6.15 労働問題
未払い残業代の時効は3年?請求できる期間とタイミングの目安

残業代の時効は給料日ごとに進みます
未払い残業代を含む賃金の請求権は、2020年4月1日以降に支払日が到来した分について、当分の間3年で消滅時効にかかるとされています。残業代は毎月の給料日を基準に、古い月の分から1か月ずつ請求できる期間が過ぎていくため、迷っている間にも対象期間は少しずつ短くなっていきます。
この記事では、時効が3年とされる根拠、いつから数えるのかという起算点、時効の完成を防ぐ方法と請求までのタイムライン、相談タイミングの判断材料を整理します。実際に請求できる期間や見通しは、支払日の定めや個別の事情によって変わるため、具体的な判断は相談の中で確認してください。
| 請求するもの | 時効期間の目安 |
|---|---|
| 残業代を含む賃金(2020年4月1日以降に支払日が到来した分) | 支払日から当分の間3年(法律上の原則は5年) |
| 退職金(退職手当) | 支払日から5年 |
| 賃金台帳など会社の記録の保存義務 | 当分の間3年 |
残業代の時効が3年とされる理由
2020年4月の法改正で、賃金の時効は2年から延長されました。
改正前の労働基準法では、賃金請求権の消滅時効期間は2年とされていました。2020年4月1日に施行された改正労働基準法により、この期間は5年へ延長され、あわせて「当分の間は3年とする」という経過措置が置かれています。この扱いは、2020年4月1日以降に支払日が到来する賃金から適用されています。
2026年の時点で請求を検討する場合、対象となる賃金はいずれも改正後のルールが適用される分です。そのため、未払い残業代は「それぞれの給料日から3年」を前提に考えるのが基本になります。
「当分の間3年」は見直される可能性があります
法律上の原則は5年で、3年はあくまで経過措置です。施行後の状況を踏まえた見直しも予定されているため、今後の法改正によって扱いが変わる可能性があります。最新の取り扱いと自分のケースへの当てはめは、厚生労働省の公表情報や相談の中で確認してください。
また、会社が作成する賃金台帳やタイムカードなどの記録の保存義務も、当分の間3年とされています。時間が経つほど勤務実態を示す資料の確認が難しくなることがある点も、期間を考えるうえで意識しておきたいところです。
起算点と請求までのタイムライン
時効は、それぞれの賃金の支払日(給料日)から数えます。
残業代の時効は、その残業代が本来支払われるはずだった給料日を基準に進みます。たとえば毎月25日払いの会社なら、ある月の残業代は、その月の給料日から3年で時効が完成するという考え方です。
重要なのは、未払い分の全体が一度に請求できなくなるのではなく、古い月の分から1か月ずつ順番に消えていくことです。対応が1か月遅れると、請求できる対象もおおむね1か月分減っていく計算になるため、「いつか請求しよう」と先延ばしにするほど不利になりやすい構造といえます。
時効の完成を防ぐ主な方法
- 内容証明郵便などで支払いを求める「催告」を行うと、6か月間は時効の完成が猶予されます。
- 労働審判や訴訟など裁判所の手続きを申し立てると時効の完成が猶予され、権利が確定すれば時効は更新されます。
- どの方法が適切か、どの範囲を請求するかは状況により異なるため、書面を送る前に確認すると安心です。
請求までのタイムライン
未払いの期間と給料日を一覧にする
直近3年分を目安に、月ごとの給料日、残業時間のおおよその見当、実際に支払われた額を書き出します。正確な金額の計算は後からで構いません。まず「どの月の分がいつ時効になるか」を見えるようにします。
時効が近い月分の手当てを決める
一番古い月の給料日から3年が迫っている場合は、催告による完成猶予などの方法を検討します。猶予される期間は6か月のため、その間に次の進め方を決める必要があります。
交渉・労働審判・訴訟を選ぶ
会社との交渉で解決を目指すか、労働審判や訴訟へ進むかを、証拠の状況、会社の対応、希望する解決の形に合わせて選びます。手続きごとの負担や見通しは相談の中で確認できます。
退職を予定している場合は、退職前に給与明細や勤務時間の分かる資料を手元に確保しておくと、退職後の請求やタイムラインの整理が進めやすくなります。固定残業代が支払われている場合や、管理職として残業代の対象外と説明されている場合でも、契約内容や働き方によっては請求を検討できることがあります。会社の説明だけで判断せず、タイムラインの確認とあわせて相談してみてください。
相談タイミングの判断材料
請求すると決めていなくても、期間の確認だけで相談できます。
「証拠がそろってから」「退職してから」と考えて相談を先延ばしにすると、その間にも古い月の分から時効が完成していきます。請求するかどうかは後から決められますが、過ぎてしまった期間を取り戻すことはできません。迷っている段階こそ、残り期間を確認する意味があります。
早めの相談を検討したいサイン
一番古い未払い分の給料日から、3年が近づいている
退職した、または退職を考えていて、勤務記録が手元から離れそう
会社に支払いを求めたが、回答を先延ばしにされている
新都心法律事務所では、初回相談を無料とし、未払い残業代について交渉・労働審判・訴訟の費用を案内しています。事前予約により日曜・夜間の相談にも対応しているため、在職中で平日に時間を取りにくい方も利用しやすい体制です。時効までの残り期間と進め方の整理から始められます。
| 相談料 | 初回相談無料 |
|---|---|
| 受付時間 | 月曜〜土曜 8:00〜20:00(事前予約で日曜・夜間も対応可能) |
| 所在地 | 東京都新宿区西新宿1-23-1 TK新都心ビル9F(新宿駅西口徒歩3分) |
| 予約方法 | 電話 0120-401-604、法律相談WEB予約、LINE予約 |
まとめ
未払い残業代を含む賃金の時効は、2020年4月以降に支払日が到来した分について当分の間3年で、給料日ごとに1か月ずつ請求できる期間が過ぎていきます。催告や裁判所の手続きで時効の完成を防ぐ方法はありますが、適切な進め方は事情により異なります。残り期間の確認だけでも、早めに相談しておくと安心です。
よくある質問
3年より前の残業代はもう請求できませんか?
時効が完成した分の請求は原則として難しくなりますが、どの月分まで請求できるかは支払日を基準に判断します。締め日と支払日の関係や個別の事情で変わることがあるため、諦める前に確認してください。
退職した後でも残業代を請求できますか?
はい。在職中か退職後かを問わず、時効期間内であれば請求を検討できます。ただし退職後も給料日ごとに時効は進むため、早めに残り期間を確認しましょう。
会社と話し合っている間も時効は進みますか?
原則として進みます。話し合い中であっても、各月の給料日から3年の経過は止まりません。催告などで完成を猶予する方法はありますが、要件や効果が異なるため早めに相談してください。
内容証明郵便は自分で送ってもよいですか?
本人が送る催告にも時効の完成を猶予する効果はあり得ますが、金額や対象期間の書き方が後の交渉や手続きに影響することがあります。送る前に文面と送り方を確認すると安心です。
在職中に請求すると会社に居づらくなりませんか?
不安に感じるのは自然なことです。請求のタイミングや進め方には工夫の余地があり、退職後に請求する選択肢もあります。事情に合わせた進め方を相談の中で一緒に整理できます。
残業代の時効は、給料日ごとに静かに進んでいきます。請求するかどうかを決める前でも、「あと何か月分を請求できるのか」を知っておくだけで、落ち着いて判断できるようになります。
新都心法律事務所では、相談だけのご利用でも問題ありません。時効までの残り期間と手元資料の確認から、一緒に進め方を整理してみてください。

