2026.6.22 相続
相続登記の義務化とは?放置した実家に過料が科される前に

実家の名義、そのままになっていませんか
親が亡くなったあとも、実家の名義が亡くなった親のままになっていませんか。名義を変えなくても住み続けることはでき、固定資産税も払えるため、登記は後回しになりがちです。しかし2024年4月から相続登記は法律上の義務になり、昔の相続で取得した不動産にも期限が設けられています。
法務省の案内によると、相続人は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが義務とされ、正当な理由がないのに登記をしない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
義務化より前の相続も対象です
経過措置により、2024年(令和6年)4月1日より前に相続したことを知った未登記の不動産も義務の対象です。この場合は、2027年(令和9年)3月31日までに相続登記をする必要があります。「何十年も前の相続だから関係ない」とはならない点に注意しましょう。
この記事では、相続登記の義務化の内容、期限と過料、経過措置のポイントを表で整理し、自分が該当するかのチェックポイント、放置した場合のリスク、相談前に整理したいことを解説します。登記の要否や進め方は不動産や相続人の状況によって変わるため、個別の判断は専門家に確認してください。
相続登記の義務化を表で整理
義務の内容、期限、過料、経過措置の4点を押さえると全体像がつかめます。
登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増え、周辺環境の悪化や取引・公共事業の妨げになっていることを背景に、令和3年の法改正で、それまで任意だった相続登記が義務化されました。義務化は2024年(令和6年)4月1日から始まっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 義務の内容 | 相続(遺贈を含む)で不動産を取得した相続人は、相続登記の申請が必要です。 |
| 期限 | 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。遺産分割が成立した場合は、別途、成立の日から3年以内にその内容に応じた登記が必要です。 |
| 過料 | 正当な理由がないのに期限内に登記をしない場合、10万円以下の過料の対象になることがあります。 |
| 経過措置 | 2024年4月1日より前に相続を知った未登記の不動産は、2027年3月31日までに登記が必要です。 |
期限の起算点は「亡くなった日」ではなく「相続で取得したことを知った日」です。亡くなった親の不動産を後から具体的に知った場合は、知った時点から3年を数えます。逆に、取得した不動産を具体的に知るまでは、登記の義務は発生しません。
相続人申告登記という簡易な方法もあります
遺産分割の話し合いがすぐにまとまらない場合には、自分が登記簿上の所有者の相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」をすることで、義務を履行したとみなされます。他の相続人がそろわなくても単独で申し出ることができます。
ただし、相続人申告登記は権利関係を公示するものではないため、不動産を売却したり抵当権を設定したりするには相続登記が必要です。また、遺産分割が成立した後の登記義務をこの方法で果たすことはできません。あくまで期限が迫っているときのつなぎと考え、早めに遺産分割を進めることが大切です。
自分が該当するかチェック
名義と相続の状況を順番に確認すると、期限があるかどうかが見えてきます。
見落としやすいのは、遺産分割をしていないケースです。話し合いが済んでいない間は、すべての相続人が法定相続分の割合で不動産を共有した状態になるため、「自分は実家を相続するつもりがない」という人にも登記の義務があります。次の項目に当てはまるか確認してみましょう。
ひとつでも当てはまったら期限を確認
親や祖父母など、亡くなった人の名義のままの実家や土地がある
2024年4月より前に相続した不動産の登記をしていない
遺産分割の話し合いがまとまっていない、または始めていない
最近になって、相続した不動産があると知った
一方で、遺産分割の結果、他の相続人が取得した不動産については、取得していない人に登記の義務はありません。また、遺産分割がまとまり、その不動産を自分以外の相続人が取得した場合には、その時点で自分の義務はなくなります。
過料までの流れと「正当な理由」
期限を過ぎたからといって、直ちに過料が科されるわけではありません。法務省の案内では、登記官が義務違反を把握した場合にまず登記をするよう催告し、それでも登記されないときに裁判所へ通知し、裁判所が要件を判断して過料を科する流れとされています。
また、相続人が極めて多数で資料収集に時間がかかる場合、遺言の有効性や遺産の範囲が争われている場合、義務を負う人に重病などの事情がある場合、配偶者からの暴力により避難している場合、経済的に困窮している場合などは、一般に「正当な理由」があると認められるとされています。ただし、認められるかどうかは個別の事情によるため、自己判断で大丈夫と決めつけないことが重要です。
放置するリスクと相談の入口
過料だけでなく、時間がたつほど話し合いと手続きが難しくなることが大きなリスクです。
相続登記を先送りにしている間に次の相続が発生すると、関係者が一気に増えます。名義をさかのぼって整理する負担も大きくなり、会ったことのない親族と遺産分割の話し合いをしなければならないこともあります。
- 相続人が亡くなって次の相続が重なり、話し合いの相手が増えていく
- 名義がそのままでは、実家の売却や担保設定、活用を進めにくい
- 戸籍などの必要書類が増え、連絡の取れない相続人が出てくることがある
- 正当な理由なく期限を過ぎると、過料の対象になり得る
誰も住まなくなった実家は、管理の負担や近隣への影響という問題も抱えます。「いつかやろう」と思っているうちに状況が複雑になる前に、まず相続人と不動産の現状を把握することが出発点になります。
相談前に整理したいこと
登記申請の手続きそのものは、法務局の登記手続案内や、登記の専門家である司法書士に相談できます。一方で、遺産分割の話し合いがまとまらない、相続人と連絡が取れない、遺言の有効性に争いがある、相続放棄を検討したいといった法的な対立や判断を含む問題は、弁護士に相談する場面です。
新都心法律事務所では、遺産分割や遺言、相続放棄など相続・遺言に関する相談に対応しており、初回相談は無料です。相談の際は、不動産の登記事項証明書や固定資産税の納税通知書、分かる範囲の相続人の関係図、遺言書の有無、これまでの話し合いの経過メモがあると、状況を整理しやすくなります。すべてそろっていなくても、実家の所在と亡くなった時期が分かるだけでも相談の入口になります。
まとめ
相続登記は2024年4月から義務になり、知った日から3年以内、義務化前の相続分は2027年3月31日までという期限があります。遺産分割がまとまらないときは相続人申告登記という方法もありますが、根本的な解決には話し合いが必要です。期限とリスクを確認し、早めに動き出しましょう。
よくある質問
2024年4月より前に相続した実家も義務の対象ですか?
はい。義務化より前に相続したことを知った未登記の不動産も対象で、2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。
遺産分割がまとまらないまま期限が来そうなときは?
相続人申告登記をすれば、申し出た相続人については義務を履行したとみなされます。ただし売却や抵当権設定には相続登記が必要なため、遺産分割を進めることが根本的な解決になります。
期限を過ぎたら、すぐに過料10万円を払うのですか?
直ちに科されるわけではありません。登記官の催告を経ても登記されない場合に裁判所へ通知され、裁判所が判断します。正当な理由があれば過料の対象になりません。
実家を相続するつもりがなくても義務はありますか?
遺産分割をしていない間は、相続人全員が法定相続分で共有した状態になるため、義務の対象になります。遺産分割で他の相続人が取得すれば、その時点で義務はなくなります。
登記の手続きと遺産分割のもめごとは、どこに相談すればよいですか?
登記申請の手続きは法務局や司法書士に相談できます。遺産分割の対立、遺言の有効性、相続放棄など法的な判断を含む問題は弁護士の相談分野です。当事務所でも相続・遺言の相談に対応しています。
実家の名義の確認は、登記事項証明書を1通取るところから始められます。期限のある手続きだからこそ、状況が複雑になる前の一歩が大切です。
新都心法律事務所では、相談だけの利用も問題ありません。遺産分割の進め方に迷っている段階でも、現状の整理からお手伝いできます。

