2020.3.17 企業法務
取引先が破綻しても債権は回収できる?知っておきたい対応策を解説

近年は大企業であっても倒産する時代が到来しており、あなたの会社と取引している企業がいつ倒産してもおかしくはなく、売掛金などが回収できないトラブルに見舞われるおそれがあります。万が一取引先が急に倒産をして未回収の債権が残っていてもすぐに諦める必要はなく、担保権の実行や商品の回収、買掛金を相殺するなど損失をおさえることが可能です。今回のコラムではもし取引先が倒産した場合にできる債権の回収方法と、損失を少しでも抑える方法について解説いたします。
倒産した取引先から債権を回収するには

取引先の倒産が決まることはすなわち支払い能力がなくなったことを意味するので、売掛金が残っていても満足に支払ってもらえないおそれは非常に高いです。ただし必ずしも支払い能力がゼロというわけではなく、以下のような方法を実行することで未回収の債権を回収し補填できる可能性があります。
担保権の実行
企業が倒産して破産を申請されたとしても、担保権を実行することで損失をおぎなうことが可能です。担保権とは取引先がお金を支払わなかった際に売り主を保護するためにある権利で、破産手続きの途中で発見された財産(お金)を優先的に分配され損失の補填ができます。たとえば取引先に100万円の商品を売っていて、破産手続きの途中に10万円の財産が見つかった場合、債権者の数に応じて分配されるようなイメージです。取引先から財産がたくさん見つかれば補填できる金額も増えますが、破産するような企業であればそもそも財産が皆無というケースも少なくないので過度な期待はしないほうがよいでしょう。
商品の回収
家電製品やバッグなどの動産を売買して売掛金が回収できなかった場合は、売った商品そのものを回収するのもひとつの手です。売買はお金をもらい製品を引き渡してはじめて成立しますが、お金が支払われていないのであれば売買は有効に成立していないため、製品の所有権に基づいて引き渡した製品を返還してもらえます。たとえば10万円の空気清浄機を売る契約をして製品は引き渡したが支払いがされなかった場合に、引き渡した空気清浄機を返してもらうような場合です。ただし支払いが確認できなかったらといっても黙って製品を回収すると罪に問われるおそれが高いので、取引先に商品を返却するよう話をして双方納得した状態で返還してもらわないといけません。
買掛金の相殺
取引先に売掛金があるだけでなく、同時に取引先から何かを購入して買掛金がある場合は相殺をして損益を調整することも可能です。相殺はあなたの会社と取引先の債権の金額に応じて双方の債務を消滅・減少させるもので、取引先から回収できなかった商品代金の金額を、取引先に支払うお金を消滅・減少させられ結果的に支出を少なくさせられます。たとえば取引先に商品代金20万円の未回収があると同時に、取引先に5万円の買掛金がある場合は5万円は相殺して15万円だけ請求するようなイメージです。相殺は売買契約のように相手の承諾が必要ではなく、あなたの会社が「相殺します」と通知すれば成立するため煩雑なやり取りも必要がないため現実味のある手段でもあるといえます。
損失をおさえるためには

いくつか対策はあるにしても少額しか回収できないおそれも高く、損失を完全に回避できるとは言い切れないのが現実です。冒頭でご説明したのは法的な力によって回収する方法でしたが、以下のように法律に頼らなくても債権を回収する方法があり、場合によっては未回収債権をさらに回収できる見込みがあります。
分割払いを提示する
取引先への売掛金が多額にわたる場合は、売掛金を支払ってもらえるように分割払いにして支払いやすくしてあげるとよいでしょう。支払い能力がなくなった企業といえども多額を一括で払えないから支払い不能に陥っている場合もあり、一回の支払金額を少なくしてあげれば支払いに応じてくれる可能性があるのです。たとえば100万円の売掛金を一括で返済を求めているとハードルが高そうですが、月に10万円ずつの分割払いを提示してあげれば一回の金額が少なくなるので支払いやすくなります。ただ支払い能力がなくなっている状態なので分割払いであっても継続して支払ってもらえる可能性は高くはありませんが、ゼロよりかは少しでも回収できるよう工夫しておくほうが賢明でしょう。
遅延損害金を課さない
契約によっては遅延損害金を設けている場合もありますが、遅延損害金の請求は免除してあげるのもひとつの手でしょう。遅延損害金があるからといってそこまで高額にはならず心理的圧迫も多くはありませんが、逼迫した状態の企業からすると条件の緩和はうれしく、返済する意思を示しやすくなります。たとえば200万円の売掛金があって支払いが遅延すると10%の遅延損害金を定めていると30日遅れれば16,438円の遅延金が生まれますが、免除されれば負担も少なくなり支払いやすくなるでしょう。
まとめ
取引先が破産したとしても担保権や商品の回収、相殺などを用いれば満額ではないものの売掛金などを回収することは可能です。しかし必ずしも未回収債権を回収できる保証はないので、取引先が破産する前に当事務所のような企業法務にも明るい法律事務所に相談して早めに行動を起こすことが大切といえます。

