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コラム

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訴訟にするかしないかの判断基準

判断基準

当たり前のことですが、当事務所には、「○○さんを」「勤務先を」「行政を」「家主を」訴えたい、という方がたくさんいらっしゃいます。

これもまた当たり前のことですが、お客さんが、「訴えたい」とおっしゃったっても、弁護士としては、はい、じゃあやりましょう、とはなりません。よく検討して、いや、止めた方がいいですよ、とお勧めすることもあります。

それでもどうしてもやりたい、とおっしゃるときには、たとえば、「やってもいいですけれども、かくかくしかじかの結果になると思いますよ。それでもよろしいですか、よろしければやります」となるか、あるいは「ウチの事務所ではその訴訟はお引き受けできません」とお断りすることも、もちろんあります。

では、弁護士が「これは訴訟にすべきではない」「この訴訟は引き受けられない」と判断する基準、その理由は何でしょうか。まず第一に、判決になったときに勝てるかどうか、です。勝てるというのはつまり、金銭を支払え、という判決を取れるかどうかということです。これは、証拠が十分か、というのもありますし、そもそも、その訴えの内容が、金銭の支払い命令を出し得るものなのか、という問題もあります。

訴えたい、とおっしゃる方は、もちろん、何らかのお怒りや不満、言いたいこと、理解してほしいことがあるわけですが、訴えるとなると、単に「それはおかしい」というだけではできません。その「おかしなこと」「納得のいかないこと」によって、あなたに何らかの損害が発生していなければ、慰謝料の支払いを命じる判決は取れない。

多くの場合、皆さんがおっしゃっていることは、その「おかしいこと」によって精神的苦痛を受けたから、その苦痛の賠償として「慰謝料」を求めたい、ということなのですが、しかし、「それはおかしい」というだけでは慰謝料は取れません。慰謝料がとれる程度に、相当、というかひどく「おかしい」、明らかにひどい、というくらいの程度に達していないといけません。

そうでないと、裁判官に「まあ、確かにあんまり褒められたことではないけど、金に換算するほどではないですよね」と言われてしまう、つまり、社会的相当性を逸脱した対応ではない、として、損害賠償請求は棄却されてしまいます。

第二に大きな問題になるのが、仮に勝てそうであるとしても、その結果貰える賠償金額と、訴訟にかかる精神的なエネルギーや、時間が釣り合うか、という論点です。お客さんのお話を聞いて、まあ、確かにこりゃ酷いよね。訴えればいくらかは取れるかもしれない。

でも、その金額って多分、30万円くらいですよね、というときに、訴訟が良い手段かどうか、というのは大問題です。正直、それでは弁護士費用の方が高くつくでしょう。じゃあご本人で訴訟されればいい、という考えもあります。が、ご本人がご自身で訴訟するのも我々からみるとすごく大変なものです。

調停とは違って、訴訟には訴訟のお作法がありますし、独特の文法もあります。これを、素人の皆さんがやられるってのは、まあ、物凄い労力と、時間です。それに値するだけの金額が取れないなら、やらないほうがいいのです。

こう申し上げると、多くの方は、「いや、先生、お金の問題じゃないんです!」とおっしゃいます。そのお気持ちは、よくわかります。判ってますが、もやもやした怒りや、納得のいかなさを解消するのに、訴訟という方法がどこまで有意義かというと、実はあんまり、有意義ではありません。結局多くの方が、自分の言いたいこと、伝えたいことを裁判所に伝えきれずに、「訴訟って結局こんなもんですか?がっかりした。。。」と、失望して終わりになってしまうんです。

弁護士としては、そういう事件の終わり方は、避けたいのです。お客さんのご不満が、たまるばかりですから。もちろん、こういうことをいろいろ考えずに、「あ、訴えたいのですね。いいですよ、訴えましょう!着手金、〇万円です!」と、お客様のご希望通りに訴訟を提起する弁護士もいるでしょう。

ただ、多くの弁護士は、「この訴訟をすることが本当にお客さんのためになるのか」を考えます。なので、その訴訟はしない方がいい、と申し上げることもたくさんたくさんあるのです。

トラブルは、法的に解決できるものとできないものがあります。法律家だからこそ、そのトラブルが法的な解決に適するかどうか、を見分けることができることもあります。だから、「訴訟にしない方がいい」と、法律の専門家が言うのであれば、それは、やめたほうがいいです。訴訟にするかしないか、については、専門家のアドバイスを聞かれることを、強くお勧めします。

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