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コラム

離婚問題

突然の別居に対する心構え

突然の別居に対する心構え

今年に入ってから、「家に帰ってみたら、妻と子がいなかった=出て行っていた(多くの場合妻と子ですが、お子さんのないご夫婦では、妻だけが消える、ということもあり得ます)」というご相談が続いています。

このご相談には何パターンかあります。
① 妻と子と、その荷物が消えており、何の連絡もない場合。
② 妻と子と荷物が消えており、妻の置手紙に「弁護士から連絡させます。」と書いてある場合、
③ 妻と子と荷物が消えており、弁護士からの書面が机の上においてあるとか、あるいは蒸発の2~3日後に届く場合。

① の場合でも、おそらく1週間以内には、何らかの書面が、弁護士なり、妻本人なりから、届くことが多いようです。

いずれのタイプにも、共通することがあります。
第一に、当たり前ですが、これは、別居に向けた行動だということです。つまり、もう夫婦として同居生活を続けることは不可能、という、妻の意思表示です。
第二に、「妻は、かなり前から、相当悩み、考え、いろいろな人に相談し、結論として、突然の別居開始という行動に出ている。」ということです。
第三に言えることは、「このパターンは、夫側に与える精神的ダメージと、怒りが、かなり凄まじい」ということです。

いま、夫とともに家族で暮らしているけれども、どうしても離婚したいんです、と、法律事務所に相談に来た奥さんに対し、弁護士が、それなら別居するしかない、とアドバイスすることは多々あります。子を置いていけない、という奥さんの場合、結果的に子を連れて別居に踏み切ることもあります。これは、「子の連れ去り」の一種ではありますが、現状我が国では、このケースでは、誘拐として、警察が動くことはありません。
もちろん、可能であれば、同居中に何度か、離婚したい、別居したい、という話し合いが夫婦間で、あるいは代理人弁護士を介して、なされ、合意の上で別居したほうが絶対にいい。しかし、同居中にそのような話をすることで、夫が逆上して暴力、暴言罵倒、あるいは経済的な虐待などに及ぶ可能性が高く、それによって、妻や子が受けるダメージが相当程度大である、という場合があります。「同居中に離婚を/別居を切り出す」というのは、配偶者が逆上したときに逃げ場がなく、切り出したほうが、窮地に立たされる可能性が大なのです。主にそのようなときに、妻側が話し合いをせずに、突然消える、という事態が、生じます。

一方、これをされる男性側は、第一にものすごいショックを受け、第二に、強い怒りを感じることが通常です。「家族のことだから家族で話し合ってからにすべきだった」「妻は、家族がバラバラになることに対する、子どもの悲しみを全く理解していない」などと皆さんおっしゃいます。それはそれで、一理あることです。

が、正直に申し上げて、ことここに至ってから、「ああすべきだった、こうすべきだった」などと相手に言ってみたところで、無意味です。相手はもう腹を決めています。そして、相手には相手なりに、そうせざるを得ないいろいろな事情があったのです。
問題は、いまから、あなたが、今後の家族の在り方について、どうしたいのか、について、よく考えて早期に決めること、早期に動くことです。
妻に子供を連れ去られて、別居された、というのは、いわば奇襲攻撃です。奇襲攻撃を受けて、もたもたしていたら、あっというまに本土まで上陸されて焼き払われてしまいます。そうなる前に、体勢を立て直して、挽回の手を打った方がいい。
その、問題の、挽回の手、をどのように考えるかというのは、事案によって全く異なります。
離婚に応じるのか(別居を続けるよりは離婚してしまったほうが、多くの場合、経済的にはメリットが大きい)、子どもに会うことを最優先するのか。まずそこを考えて決めなければなりません。
ただひとつ、ここだけは申し上げておかなくてはならない点があります。妻が、子を連れて別居した、という場合、子を連れ戻す、ということは非常に困難です。お子さんが、15歳以上で、自分の意思がはっきりしていて、やっぱり元の家に戻りたい、と言える場合以外は、連れ戻すことはとても難しい。なぜなら、裁判所は「お子さん、お母さんと一緒なんでしょ。じゃあ、まあ安全でしょう。敢えて裁判所が介入しなくても、お子さんちゃんと生活できるでしょ」と考えるからです。
よくこのようなケースで、「子の引き渡し請求」や「子の引き渡しの仮処分」、をやりたいという方がいます。ですが、まず、仮処分が通ることはめちゃくちゃ稀です。正直、こういう、勝訴見込みの低い処分に弁護士費用を使うのはもったいない、というケースの方が圧倒的に多数です。
それなら、仮処分ではない、いわゆる本案、子の引き渡しの調停、審判の方が、まあ、まだ穏当です。調停で、審判まで行かずに、話し合いで、子を戻せた、ということもないわけではありません。

子どもを連れての突然の別居は、やられた方にとっては「突然」ですが、やった方にとっては、念には念を入れて計画し、長期間暖めてきた作戦なのです。そこをよく理解して、早期に対応されることをお勧めします。家族のかたち、というのは、良くも悪くも、時間が決めてしまう、という側面は、少なからず存在しますので。

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